ポール・ウイリアムスと俺

 今年はカーペンターズのデビュー40周年だそうで、レコード屋にはベスト盤やトリビュート盤、DVDなんかが店頭に並んでいる。俺は今日、久しぶりにレコード屋に入って初めてそのことを知った。まあ何にしてもカーペンターズは嫌いじゃないので、早速視聴コーナーでトリビュート盤を聞いてみた。どの曲もカバーというよりコピーという感じで面白みはない。と思ったら10曲目のJポップ調「愛は夢の中に」にハッとさせられ、続くビート・クルセダーズのギター・ロック調「ソリテアー」にやられてしまった。面白くなってきたと思ったら、また忠実なコピー曲に戻ってしまった。収穫は上記の2曲だけで、あとは原曲を聞けばいいじゃん、という感じだった。
 カーペンターズはソングライターに恵まれていて、「遥かなる影」のバート・バカラック、「愛のプレリュード」「雨の日と月曜日は」のポール・ウイリアムス、「スーパースター」「マスカレード」のレオン・ラッセルと曲を提供する人が俺の好きな人ばっかりである。まあ恵まれていると言うより、リチャード・カーペンターの選曲センスがいいのだろう。
 実は昨日、トマスにもらった「トランザム7000」のビデオを見ていて、久ぶりにポール・ウイリアムスの姿を見たのだ。この映画はバート・レイノルズ主演のカー・アクション物で、結構ヒットして続編も作られている。ちなみに続編のほうはトラックで象を運ぶ話だった。昔から何度も見ている作品だが、ポール・ウイリアムスが出ていることをすっかり忘れていた。やっぱり何度見てもルックスの面白い人だ。昨日の「トランザム7000」に今日のカーペンターズと、なんだかポールづいてるなあ、と思ったらブログに彼の事を書きたくなってきた。
 出会いは「ファントム・オブ・パラダイス」だった。ブライアン・デ・パルマ監督のロック・オペラである。高校時代にこの映画を見て俺は恋をした。映画に惚れてしまったのだ。画面に映る物は全部好き、聞こえてくる音も全部好きだった。この映画でポールは役者と音楽の両方を担当している。特に音楽は50年代風あり、サーフィン風あり、ハードロック風ありとバラエティに富んでいて、全部が俺の感性にぴったりはまった。それなら普通はポール・ウイリアムスを追いかけ始めるところだが、そうはならなかった。あまりにも感性にぴったりしすぎて、これだけで満足してしまったのだ。しばらくは「ファントム」ばかり見ている時期があった。
 それでもポールはヒット作を連発するソングライターだし、特異なルックスを生かした役者活動も行なっていたので、特に追いかけなくても割と頻繁に接する感じになる。もともとはスタント・マン(子役の身代わり専門と思われる)として芸能界に入ったので、役者としてのキャリアのほうが長いのだ。トニー・リチャードソンの「ラブド・ワン」とか、アーサー・ペンの「逃亡地帯」といった古い映画でも彼の姿を確認することができる。
 シンガー・ソングライターとして売れてくると、今度は楽曲提供という形で映画にかかわるようになる。ここからは彼が主題歌を歌った作品をいくつか紹介しよう。「ファントム・オブ・パラダイス」はみんな見てると思うから省略して・・・・
 まずはアラン・パーカー監督、ジョディ・フォスター主演の「ダウンタウン物語」から。オール子供キャストの暗黒街ミュージカルという狂った作品。「ファントム」同様ポールが全曲担当している。ヤバいぐらいの色気を放つジョディはこのとき14歳。

 続いてマイケル・チミノ監督、クリント・イーストウッド主演の「サンダーボルト」だ。「ルパン三世」と「傷だらけの天使」を足して3で割ったようなオフビート犯罪映画。ポールはエンディング・テーマのみ担当。

 最後にマーク・ライデル監督、ジェームズ・カーン主演の「シンデレラ・リバティ/かぎりなき愛」を・・・・と思ったけど「リクエストにより埋め込み無効」になってる。腹立つなあ。これは天才撮影監督ヴィルモス・ジグモンドの映像がいい雰囲気なんだが。直接youtubeに行って、「cinderella liberty」で検索したら見れるかも。
 俺は映画を中心に紹介したけど、ミュージシャンとしての功績はこの人が詳しいよ。
http://ameblo.jp/marthamydear/entry-10195443700.html