伊太利亜黄表紙

 ダリオ・アルジェントの新作「ジャーロ」が来月から公開される。公式サイトはこちら。
http://www.finefilms.co.jp/giallo/
 上映館はまたしてもシアターN渋谷だ。しかし予告編を見ると、あまり面白そうじゃないなあ。わざわざ見に行くほどの映画ではないようだ。ところでタイトルの「ジャーロ」というのはイタリア語で黄色という意味なんだけど、イタリア以外では映画のジャンルをさす言葉になっている。はてなキーワードによると・・・・
 ジャーロとは、イタリア製のスリラー映画につけられる呼称。
 元々はイタリアのある出版社の推理小説のカバーが黄色だった為に、それら小説群につけられた呼称。転じて、スリラー映画一般に用いられるようになった。ジャーロの特徴として、犯人探しよりも殺しの手口に主眼が置かれるため、必然的に「えげつない」描写が多くなる。これはいわゆるマカロニウェスタンやイタリア製ホラー映画にも共通する<見世物>としての娯楽性の追及の帰結であると考えられる。
 ・・・・となっている。ダリオ・アルジェントジャーロの代名詞のような監督である。だからこの新作はいうなれば、ゴダールが「ヌーヴェルヴァーグ」というタイトルの映画を撮るような大事件のはずだ。それがこの程度の内容では困るのである(予告しか見てないけど)。
 「ジャーロ」の予告は公式サイトで見てもらうとして、それとは別に気になる映画があるのだ。アルジェントよりもアルジェントっぽいと評判のフランス映画「AMER」だ。

 今年のゆうばりファンタで上映されたそうだけど、劇場公開は決まってないみたいだ。見たいなあ。アルジェントがパワーダウンしているのは否めないけど、どうやらその遺伝子は次世代に脈々と受け継がれているようだ。「AMER」の作品解説はこちら。
http://yubarifanta.com/views.php?id=419&langue=21010
http://yubarifanta.com/rep_read.php?number=697
 このようにアルジェントは今でも影響力があるのだが、逆にアルジェントに多大な影響を及ぼしたのがマリオ・バーヴァだ。この人はイタリアン・ホラーというジャンルを一人で作り上げたといっても過言ではないほどの天才監督である。作風はカメラマン出身らしく映像重視。耽美的な映像で雰囲気を出しまくるかわりに、ドラマやストーリーには無頓着だったりする。日本でも熱狂的なファンが多く、大林宣彦黒沢清といった人がリスペクトしている。イタリアで最初にジャーロ映画を撮ったのも彼で、64年の「モデル連続殺人」はジャーロのフォーマットを確立させた作品として有名である。バーヴァの生み出したジャーロは、アルジェントの登場によってさらに発展するわけだが、その話はまた次回。
 最後に「モデル連続殺人」のオープニングを見てみよう。グラフィックな画面構成に圧倒的なまでの色彩美。アルジェントがバーヴァの遺伝子を忠実に受け継いでいる事がよく分かる。それにしてもかっこ良いオープニングだな。

 な〜んて知ったかぶりしてるけど、ぶっちゃけ俺はバーヴァの作品は一本も見ていない。こうしてユーチューブで断片的な映像を見て悶々としているだけである。もちろん近所のレンタル・ビデオにも置いてない。誰か持ってる人がいたら貸してクレヨン。